場所は高崎芸術劇場でした。
これは聴きに行ってよかったと思いました。
私が井上陽水を初めて聴いたのは中学の時で、ライブ「もどり道」のレコードですが、実際に熱心に聴いていたのは1980年代です。ただしその頃にリリースされた曲ではなく、デビューアルバムから順番に聞いていました(「断絶」「陽水II センチメンタル」「氷の世界」など)。当時私は CTI や Return to Forever などのジャスを訊く一方、井上陽水や尾崎亜美などの当時で言うニューミュージック(現代で言えばJ-POP)もけっこう聴いていたのでした。
しかし社会人になってからは日本のポップスからしばらく遠ざかる日々が続きました。
また陽水に興味が出てきたのは40代で脱サラして同業者とカラオケに行くようになってからです。私は割と高音域が出るので「夜のバス」や「かんかん照り」などを好んで歌っていました。
その後私の興味はAKB48、HKT48に移ってしまったわけですが、陽水はやはり気になっていました。
で、今回のコンサートです。
高崎芸術劇場は2019年9月20日にオープンしたばかり。高崎駅からのアクセスも良好でした。
18:00開場でしたが人が集まりだしたためか17:45頃ロビー開場になりました。私達の席は1階の17列目。会場全体から見ればかなり前の方でした。
18:30開演予定のところ実際の開始は18:40。はじめにバンドメンバーが登場し、次に陽水本人です。しっかり顔も見えて、場所的には大満足でした。
セットリストは以下のとおりです。
陽水のパフォーマンスは若い時とまったく変わっていないように思われました。声は伸びるし表情付けも完璧。まさにポップスのお手本となる歌い方です。日本有数の技能とセンスを持っていると感じました。もし日本で歌の上手な人を3人挙げろと言われたら、私は井上陽水・水樹奈々・矢野顕子とします。
バンドはギター2、ベース、ドラム、キーボード、女性コーラス2でした。コーラスの2人は若いですが、楽器は60代メンバー。原曲とはアレンジがかなり違っている曲もありましたが、あまり奇を衒わない、安定感のある演奏だったと思います。
コンサートの進行は陽水自身が行っているように見えましたがたいへん安定していました。別にディレクターがいるのかもしれませんが、今回のツアーだけでもすでに何十回も演っているので全員手慣れている感じでした。
陽水のMCはよく知られているとおり軽妙な語り口で小さなギャグを飛ばしていくという感じですが、歌い始めると彼独自の世界にふっと引き込まれてしまいます。そのギャップがすごいと感じました。
コンサートは全曲座っての鑑賞かなと思っていたのですが、「氷の世界」から立たされました(笑) アンコールの拍手も立ったまま。まあ、別に立たせなくても良いんじゃないかと思いましたが。
コンサート中にふと変な想像をしました。
もしAKBの曲で陽水に歌わせても違和感がないものはあるだろうか?
「だけど...」のようなバラードが合いそうな気がします。ギター1本の弾き語りで。逆に「センチメンタルトレイン」みたいな元気な曲もいいかもしれません。「♪センチメンタルトレ〜イ〜ン」なんて陽水の声で聴いてみたい気もします。
井上陽水が作る歌詞は物事を素直に歌うというよりは、比喩表現や抽象表現をたくさん使っておしゃれに仕上げていることが特徴です。この点秋元さんとは真逆です。「毒蜘蛛」なんかは陽水寄りかもしれませんが。で、いくつか陽水に合いそうなAKB48グループの曲を考えてみました。
「帰郷」「瀬戸内の声」なんて陽水の雰囲気、とくに声に合ってると思いませんか? AKBファンのかた以外にはピンとこないかもしれないですけど。
逆に陽水に絶対に合いそうにないのは
「47の素敵な街へ」
「7時12分の初恋」
などでしょうか。