[ Top > 日記 > 2020年 ]

タイトル

2020年8月30日

長塚節の歌碑が勿来関にあると知り、見に行きました。場所は国道6号線、勿来の関跡三叉路です。茨城県側からいわきに向かって走ると左側です。なおこの写真は勿来関のモニュメントであり、歴史的な意味はありません。

で、その交差点にいくつか記念碑があるのですが、ここに車を止めるスペースがありません。そのため一旦左折してこのモニュメントをくぐり、少し行くと左側に駐車場があるので、そこを使用しました。そして、歩いて交差点まで戻りました。

細長いのと三角形のが長塚節の歌碑です(三角形の方は歌碑と気づかず撮影しませんでした)。

汐干潟磯のいくりに釣る人は波打ちくればあしばで避けつゝ

ものゝふの過ぎしいそ回のあたなみを勿来の関と人はいふなり

さて、このモニュメントをくぐって暫く行くと勿来関があるらしいので、行ってみることにしました。案内板にもしっかりと「勿来関跡」とあります。

細い道を行くと、吹風殿(すいふうでん)という立派な建物がありましたが、これは体験学習施設であり歴史とは無関係です。そのすぐ近くにいわき市勿来関文学歴史館というのがあったので、入ってみることにしました。

順路を行くとまずは多数のリカちゃん人形などが置かれた狭いスペースがありました。タカラの創業者がいわき出身のためこの企画展をやっているようなのです。

次に長い廊下を歩いていくと、タブロイド新聞のパロディーみたいなものが何点が展示されていました。この時点でここがなんだか怪しいことにうすうす気づき始めました。なおこの新聞は見出しだけでなく文章もきちんと作文されています。

1階に戻ると江戸の町並みの再現したような、暗い迷路のような場所がありました。ここがメインと思われました。狭くて写真が撮りづらかったので詳しくはお見せできませんが、障子に幽霊のようなものが映っていたり、井戸を覗き込むと怪しいCGが見えたりしていました。しかしながら文学のブの字もありません。

そして勿来を擬人化したという「勿来櫻慈(なこそおうじ)」。
おい、ちょっと待て。

そしてもうここから先は出口で、そこに文学書らしきものが並べてありました。

もうなんでもいいから展示しておけというような感じで、「文学」も「歴史」もほぼ皆無。ここを運営しているのは公益財団法人いわき市教育文化事業団というところで、市の作った団体でしょう。入場料は330円と安いので仕方ないかという感じですが、もう少しなんとかならなかったのでしょうか。

ところで、勿来関というと江戸時代まで関所があったと思っていらっしゃるかたが多いのではないでしょうか。実は私もそう思っていました。しかし「関所の存在は確認されていない」というのが答えです。どこか他の場所にあったのかもしれないし、なかったかもしれない、ということらしいのです。すくなくとも、箱根の関所のような「入鉄砲と出女を厳重に取り締まる」ようなものはありませんでした。では勿来関とは何なのかというと「和歌の歌枕である」というのが現在の答えです。「勿来の関公園」というのがこの先にありましたが、あくまでもあとから作られた観光地なのです。


[ Top > 日記 > 2020年 ]