茨城県最南端、利根川の河口付近の地に長塚節の歌碑があるので行ってみました。とてもとても小さな公園でした。
その片隅に歌碑はありました。
利根川の北風いなさの吹き替へにむれてくだる帆つぎてのぼる帆
利根川の向こう側は銚子漁港になります。
「くだる帆」「のぼる帆」という言葉が船の行き交う光景を鮮やかに映し出しています。節はこのあたりに佇んで利根川をじっと見ていたことでしょう。「北風」に吹かれて寒かったに違いありません。
しかしよくこんな場所(失礼)まで歌を創りに来たものです。当時石下からここまで来るのに土浦に出て霞ヶ浦を走る船に乗ったのか、あるいは鬼怒川から利根川に出たのか。いずれにしても現代に比べればとても不便だったはずです。
この地域ではいまでも決して交通の便に恵まれているとは言えません。マイカーは別として、もし公共交通機関のみで東京からここまで来ようとすれば、銚子まで総武線か高速バスを使い、銚子駅から鹿島神宮方面の路線バスかタクシーになります。東京駅から関鉄波崎営業所への高速バスがありますが、ここまで直接は来てくれません。
でも、節の気持ちは私にもわかるような気がします。私は渕上舞さん見たさに福岡まで足を運びました。節はこの利根川河口の風景をとても見たかったのでしょう。