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AKB48グループの魅力とは

2021年3月28日

AKB48グループは近年いろいろと叩かれることが多い。しかしそれらの意見の中にはグループの目的や方針をよく知らずに誤って捉えているものが多い。そのような誤りを正す意味も含めて、グループの魅力について書いてみたい。

AKB48グループは芸能界への学校である

AKB48グループは基本的にはそこで活躍することがメンバーの目標ではない。AKB48で芸能活動というものを実践的に学び、自分が希望する道に進んでいくための場所なのである。だからAKB48のコンセプトは「学校」である。そのため衣装やシステムも学校をモチーフにしたものが多い(ただし衣装は曲によって変わる)。

歌やダンスが下手?

AKB48グループでは志望者がオーディションに最終合格してグループに入ると、まず研究生となる。ある程度実力をつけると正式メンバーとなり、劇場での活動を続けていく。歌やダンスに関しては最初はみんな下手で、努力することによって上手になるのである。だから一つのチームを見ても技術が低いメンバーから高いメンバーまでそのレベルは様々なのである。

たとえば歌の能力であれば、現役メンバーだと古畑奈和・岡田奈々・柏木由紀などはかなり高い能力を持つ。卒業メンバーだと竹内美宥・山本彩が上手かった。こういう歌手として通用できそうなメンバーいるが、しかし、大多数のメンバーはというとプロとは言えないレベルである。

ダンスについては横山結衣・本田仁美・上野遥などがおそらくトップレベルである。ほぼプロとして通用する。小林蘭や中西智代梨も良い。ほかにも上手いメンバーはいるが、全体を見渡すと能力はやはりばらつきがある。

しかし技術的に未完成な者であっても公演に出演しなければならない。実はこれは落語と同じシステムなのである。落語家は入門して噺を覚えると、前座として演じることを要求される。実際に客の前でパフォーマンスを行うことによって鍛えられるのだ。

中には芸能とは別の能力に気づいてアーティストにならない者もいる。代表例は内田眞由美だ。彼女は実家が焼肉屋であることもあるが、彼女自身も焼肉屋のオーナーとなり成功している。

要は芸が上達する過程を客に見せるのである。ここが宝塚歌劇団などとの違いだ。だから、歌やダンスのレベルがばらばらでも仕方がないことなのだ。また、次に述べるように、これは魅力でもあるのだ。

世間にはAKB48グループに対して
「下手な芸を見せられるのはたまったもんじゃない」
と主張する人がある。だが、そういう発言をする人は「芸」の何たるかがわかっていないのである。

芸というものは技巧が優れているから面白いというものではない。下手でも、荒削りでも、人を感動させることはいくらでもできるものなのである。

たとえば、高校野球。春や夏の甲子園大会が毎年行われているが、テレビで見ているだけでもとても面白いものである。しかし、高校野球を見てからプロ野球を見ると、なんだかつまらなく感じられたことはないだろうか。

プロ野球のレベルは確かに高校野球よりずっと上である。しかし試合を観ていると、高校野球に比べて選手の動きに無駄がなく、試合が実に淡々と進んでいく感じがするだろう。高校野球のピッチャーはプロに比べればコントロールが悪いので、すぐ打たれたり四死球を出したりする。野手もエラーが多いし、打者も凡打なのにヘッドスライディングを無理やりおこなったりする。しかしながらこういう点が観る者をはらはらさせ、興奮させるのだ。

あるいは、山下清の絵。絵画に少しでも興味があれば、あの絵が下手くそだということがわかるはずだ。だが、「長岡の花火」「桜島」「寝るところ」など、どれもこれも魅力的で興味が尽きないものばかりである。彼は後年商業的に絵を描くようになるが、技術が上がったもののかえってつまらないものになってしまったのだ。

そういうわけで、AKB48グループの特性を考えれば、「歌やダンスが下手」というのは全体としては事実だとしても、学びの過程にありやむを得ないものであること;しかもそれ自体にも面白さがあるものであり、下手であることをもってケシカランというのは的はずれな議論なのである。

なお、韓国のダンスボーカルグループを引き合いに出してAKB48グループが劣っていると主張するものもいる。しかし両者はジャンルとしては全く違うのだ。韓国は技術を楽しむものである。これに対して日本の場合はまずかわいらしさを楽しむという主題があり、さらに、AKB48グループではメンバーの様々な個性を楽しめるという特色がある。宮崎美穂のような毒舌の名人、中西智代梨のようなバラエティーの名人、浅井裕華のような癒やしを与える名人、首になった某メンバーのようなエロの名人など、実にバラエティーに富んでいるのである。


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