上手いタイトルを見つけられなかったが、これで勘弁してほしい。そして、できれば最後まで読んでもらいたい。
AKB48グループは「いわゆる」恋愛禁止とされている。しかしこの規則が事実かどうかの確認を私は取れていない。あくまで推測ということになる。メンバーと運営の契約上でそうなっているのか?ここがハッキリしないと何とも言えないのである。単純に「設定」である可能性もある。
ちなみに秋元康さんはある事件をきっかけに「自分は『恋愛禁止』と言ったことはない」と発言している。だから本当に恋愛禁止なのかはやはり疑わしい。メンバーも「恋愛禁止と言われた」と証言する者から小嶋陽菜のように「恋愛しろ」と言われた者までおり、全体の方針ははっきりしない。
少なくとも米国のような完全な契約は無いのではないか。そんなことがあれば基本的人権の侵害になる恐れがあるからである。いくら契約だからといっても公序良俗に反するものは無効となる可能性がある。米国のように狂った契約至上主義では、プリンセステンコーに対して種々の奇妙な設定をしているが、日本人はそこまで馬鹿なことはしない。
さて、私がここで議論したいのはファン側の心理である。結論から言う。メンバーの恋愛禁止を求めるファンは未発達な心理を持っているのである。これは特徴であって、非難ではない。
前提となる考え方を説明しよう。
人間の対人関係の心理は
という順番で発達する。詳しく知りたい人は発達心理学の入門書を読んでほしい。
まず乳児期がある。泣けば乳が出てきたりおむつを替えてくれたりという、自分が絶対王者の時期である。
そこから物事は自分の思い通りにはならないこともあるんだと気づいてくる時期。母親を通して自分対相手の二者関係を知る時期である。
そして、相手(母親)が誰か(父、兄弟など)と仲良くしていると嫉妬する時期を経て、さらにそれを家庭外でも味わい、そういう葛藤を健康に自分の中で処理できるようになるのである(三者関係の完成)。三者関係ができるようになると集団に適応できるようになる。
三者関係まできちんと発達していないと、境界性パーソナリティー障害のような状態となる恐れもある。社会的に問題が生じても相手につきまとって離れないような状態である。
いっぽうアイドルは一つの人格を持った独立した存在であり、彼/彼女がプライベートで何をしようともそれはファンが干渉する部分ではない。ファンはあくまでもアイドルを応援する立場であり、彼/彼女のパフォーマンスを楽しみ、彼/彼女の自己実現を願うというのが基本的なあり方である。
スポーツ選手に例えるとわかりやすいだろう。選手のファンは選手が活躍することを願うのである。選手が恋愛しようが結婚しようが、それはプレーとは基本的に無関係な部分である。
このような姿勢のファンに対して、アイドルは恋愛禁止であると騒ぐファンは、アイドルを恋愛対象と見ている場合か、上記の三者関係が健康に処理できない性質の人かのいずれかである。後者のほうがメインだろうが、どちらも健全とは言えない。
芸能人との恋愛が成り立つことはまずないし、いちいち他人が誰かと仲良くなることに嫉妬していては三者関係の多い社会で不適応を起こすだろう。AとBが仲が良い、BとCが仲がよい、だからAがBに対して「お前Cと付き合うなよ」などと言ったら頭がおかしい人と判断される。
アイドルファンでアイドルに恋愛禁止を求める者は、そのような考え方が健全であるのかどうかをよく考えたほうが良い。
私の個人的な意見を言えば、アイドルは恋愛していても構わないし、結婚していても問題ない。そうでなければ松田聖子さんの人気を説明できない。それに恋愛を経験したほうが魅力的になれることが多い。
こういうことを書くと
「それでも俺はアイドルが恋愛することは我慢ならないんだ」
と反論する者はいるだろう。
それに対する答えは二通りある。ひとつは、そのままあなたの姿勢を貫いてかまわない、ということ。もうひとつは、なにか問題を感じているなら、自分で勉強するなり、カウンセリングを受けるなどして、自分を変えられるよう努力してみればよい、ということのいずれかだ。
ただし、すべての人にお願いしたいのは、アイドルが恋愛したからと言って騒いだり叩いたりするのは止めてもらいたいということ。黙ってファンをやめれば良い。SNSで悪口を言ったり「金返せ」などと言うのはもってのほか。他人が自分の思い通りになると考えるのに無理はないが無邪気すぎる。ファンはプロデュサー気取りなのかもしれないが、本当にアイドルを思い通りにできるのは所属事務所に出資している者だけである(資本主義のお約束)。また、恋愛を攻撃する態度はバカマスゴミをのさばらせる要因にもなる。さらにアイドルにPTSDでも引き起こせば刑事では傷害罪、民事では損害賠償責任を問われる恐れがある。くれぐれも注意したい。というより人間としての最低限の礼儀である。
須藤凛々花さんの結婚発表に対して運営側はグループに残るよう彼女に要請した。大人の本音が見えて面白い。運営の意識もずいぶん変わってきたものだと感じさせるエピソードだった。しかしそのことは愚かなファンとメンバー、マスゴミの雑音にかき消されてしまった。彼女はグループにとって唯一無二の存在であったはずなのだが。
指原莉乃さんは「イコラブは恋愛禁止ではありません」と述べているが、適切な判断だと思う。