会津若松市の飯盛山にあるさざえ堂に行ってきました。
正式名称は円通三匝堂(せんつうさんそうどう)といいます。もともとはここにあったお寺の仏像展示施設でした。内部は螺旋階段になっていて、33体の観音像を順番に見て回れるというものでした。「でした」と過去形にしたのは、観音像はすでに無く、寺も廃寺になっているからです。
内部は行きの階段と帰りの階段があり、一方通行で全部見られるようになっています。このようなさざえ堂は全国にあるのですが、全国唯一の「一方通行」というのが特徴です。ワトソンやクリックもびっくりの二重らせん構造です。
外見も内側もとにかく古い。木材がむき出しです。江戸後期に作られておそらく大規模な改修も補強もされておらず、当時にタイムスリップしたような感じです。マニアが好きそうな「廃墟」の趣があります。
平日なら人がいないだろうと思ったのですが、ここは飯盛山。白虎隊の墓のほぼとなり。小中学生の遠足コースの定番です。きょうも喧しい中学生が大勢いました。観光シーズンでないときのほうが良いのだろうと思います。
現代人は社寺を信仰の対象という捉え方をしますが、娯楽の少ない江戸時代にあっては今でいうテーマパークのような一面がありました。伊勢神宮とか、成田山とかを見れば想像がつくでしょう。各地のお寺にあった「地獄」の絵など、さしづめお化け屋敷のような意図もあったはずです。
飯盛山の入り口です。土産物屋が並んでいます。かつては「買うように客に迫る」ことで有名だったそうです。私は入りませんでしたが、いまはどうなのでしょう。
階段の右側には登るための「動く歩道」が設置されていました。スロープコンベアと呼びます。もちろん有料。私が中学生の頃(1974年?)に行ったときはなかったと思います。
階段を登っていくとこんな感じです。この風景を見るためには階段のほうが断然いいです。
「桜桃子」とありますが、漫画家ではありません。成瀬櫻桃子(なるせおうとうし)という俳人です。いまごろの季節を詠んだ句でしょうか。