佐藤妃星さんが2023年9月17日にAKB48を卒業された。私はその卒業公演を観に行き、最後の姿を見届けた。ここでは私がきぃちゃんを推すようになったきっかけから記したい。
AKB48劇場に通うようになって間もない2016年12月。あるぐぐたすの記事がファンの注目を集めた。
劇場公演に不真面目だったり
最近公演終わりにやっている
お見送りだったりも、
面倒くさいと言って適当にやったり
する人が居るんです。
でも、それじゃあダメなんです。
というか、
そんな事があっちゃいけないんです。
私はこれを見て、なかなか肝の座ったメンバーがいるな、と強い印象を受けた。ただそのときは私の中ではこの記事が「夢死な」に出演している「佐藤妃星」に結びつかなかった。
それからまもなく彼女はAKBNGO!に出演するようになった。そこでの真摯な姿勢を見て、これは劇場公演でも注目する必要があると感じた。
当時AKB48劇場では「僕の太陽」公演をリバイバルとしてやっていた。島田晴香さんや中田ちさとさんがいた頃である。最初のユニット曲「アイドルなんて呼ばないで」できぃちゃん登場。ルビーレッドの衣装で踊る姿のかわいらしさに衝撃を受けた。そういえば彼女は島崎遥香を尊敬していると言っていた。
その後はできる限り僕太に応募して観に行くようにした。「アイドルなんて呼ばないで」のパフォーマンスの他に、「Lay down」でのアダルトな姿や「僕の太陽」でのユニークなダンスも好きだった。
もちろん握手会にも行った。彼女の握手会はいつも1部しかなかった。しかしそこに行けば彼女の飾らない姿を見て会話をすることができた。媚びを売るわけでもない、釣ってくるわけでもない、なにか面白いことを言うわけでもない。ただ、公演のことを話したり、日常のことを話したり、さりげない会話をしてファンは帰る。それが絶大な癒し効果を生むのだ。
性格の裏表のなさも感じた。有名メンバーになると生のままではなく媚びる・釣るなど営業用の態度を示してくる者がしばしばいる。しかし彼女にはそれがまったくなかった。これは劇場公演でも、テレビ出演時でも、SHOWROOMでも全く同じであった。
メールにも彼女の性格は現れていた。他のメンバーも本音を書いてくる者は多いが、彼女は「本音だけ」を書いてきた。まったく格好をつけるようなことがないのだ。今日のご飯とか、買い物とか、日常のこまごまとした出来事が綴られたメールが毎晩22時台に連続して届く。そして23時からSHOWROOMが始まるのである。これらが毎日の楽しみであった。
こうしてきぃちゃんを推すという喜びをファンは得てきたわけだが、楽しい時間にもいつか終わりが来る。
2023年7月17日、彼女は「僕の太陽」公演において卒業発表した。私は「とうとう来るべきものが来た」と暗澹たる気持ちになった。そして、彼女は卒業後いったいどうするつもりなのだろう、という懸念が浮かんだ。彼女の発言からはもう次に進むべき道は決まっているということがわかった。だが私にはそれが何なのか想像がつかなかった。声優の道ではないか?と考えたが、いやいや、まだそこまでの実力はないだろう、とその考えを打ち消した。ただ、少し前から「勉強している」という発言がメールの中に見られていた。これは気になっていた。
そうこうしているうちに9月17日の卒業公演が決まった。申し込んだところ、あっさり当選してしまった。このあたり、ファンとしての登録歴が長いと当たる確率はどうも上がるようである。
余談だが、この日は同時刻に平沢進+会人のライブが国際フォーラムであった。幸いなことに、というと変だが、こちらはチケットが取れなかった。まあ、当たったとしていても秋葉原に行っていたであろう。
卒業公演は「僕の太陽」になるのではないか、と密かに考えていたが違った。まあ、ホームチームでの公演だから当然といえば当然なのだが。かつてはかよよんが僕太で卒業しているし、直近ではさっきー・まりあ・さきぽんの例がある。
2023年9月17日、18:00からの公演。ビンゴによりほぼ中央、前から5列目に陣取ることができた。この位置であれば問題なく中央が見える。
出演メンバーは以下の通りである。
佐藤綺星を含む8人で公演は行われた。妹さんが入っていたことに安堵したファンは多かったろう。
セットリストはこのようであった。なおこの公演は23歳の生誕祭も兼ねていた。
公演は滞りなく進んだ。そして「翼はいらない」の終了後に生誕祭があった。誕生日の手紙はキャプテンからであった。その内容からはきぃちゃんの公演にかける熱意がよく伝わってきた。彼女の姿勢はメンバーもよく知っていたのだ。
その後佐藤姉妹を除いた6名でのMCが行われたが、ゆいりーが彼女がアンナ公演で実力がものすごく伸びたという話をしていた。私も全く同意見である。だから2016年からの「僕の太陽」と2021年以降の同公演ではパフォーマンスの質が違っている。
このあと卒業公演パートとなったが、最初がソロ曲で「サヨナラで終わるわけじゃない」。この歌に泣いたファンは多かったはずである。2曲目の「この涙を君に捧ぐ」だが、このオリメンには佐藤亜美菜がいる。ひょっとしたら「私は声優の道に進みます」という示唆なのかと考えた。いや、そんなのは偶然だろう、と思い直したが。
最後のMCのあと、ゲストも含めた全員で「ジワるDAYS」で締めくくられた。言わずと知れたさっしーの曲だ。この曲を選んだのは意外な気がしたが、実際に聴いてみたらとてもマッチしていたように思う。
君の瞳から涙が溢れたら
世界のどこにいたとしても
僕が全力で駆けつけてあげる
この歌詞の内容は「僕の太陽」に出てくる
君が世界の何処かで泣きながら
孤独に震えていたって
必ず僕が探す
と同じものだ。これはきぃちゃんがファンに希望する内容でもあり、ファンがきぃちゃんに求める内容でもあろう。
この公演が終わって帰宅してから、私はしばらく虚脱感に苛まれていた。私にとって推しの卒業は初めての経験なのだ。当然のことながらメールも来なくなった。
代わりの推しを見つけようとしたが、やはり彼女に取って代われるメンバーは見つかっていない。自分の足でしっかり立ち、努力を続け、媚びず、ごまかさず、日々の活動に打ち込んでいく。そんな姿を私は応援していたのだ。
2週間ほど経った2023年10月1日。嬉しい発表があった。クロコダイルへの移籍である。これはまったく意外なものであったが、同時にやっぱり、という気持ちもあった。アニメや漫画が好きな彼女は自分の進むべき道を密かに準備していたのだ。
まあさすがに青二プロダクションや81プロデュースということはないだろうと思っていたが、クロコダイルといえばあの山田麻莉奈さんが所属しているところである。あまり大きな事務所ではないが、活躍できるかどうかに事務所の規模は無関係である。
ツイッター(X)も再開してくれたし、おそらく今後は直接姿を見られる機会もやって来よう。その日を待ちながら、まだまだ彼女を推すつもりである。